サックスやアドリブを教えて23年くらいになります。
これまで600人以上のプロアマ、日本人や外国人、8歳から70代の方まで幅広く教えてきて思うことがあります。
それは「言語化の大切さ」です。
プロのプレイヤーは何万時間、何十年と時間をかけてサックスやアドリブの吹き方を体得していきます。
頭で考えていたら追いつかないので体に染み込むまでとことん練習と実践を繰り返します。
思いついたアイデアなどを瞬時に表現するために言語など介さず、直結と身体を直結して演奏できるように訓練をします。
その弊害と言っては何ですが、案外自分が身につけたことを言葉に表現できない人が多いのです。
「名プレイヤーは名指導者にあらず」という言葉もあるくらいです。
人に伝えようとする時、自分が学んだことことと合わせて相手の状況をよく観ながら伝える必要があります。
自分のエネルギーがこもった言葉で、しかも相手が分かるように、伝えなければいけません。
専門用語を使っていたら伝わりにくい。
当たり前のことですが、本に書いてあるようなことを本と同じように言っていたら教える側としてダメなのです。
この事は僕はミュージシャン以外にパーソナルコーチングや小規模事業者向けのコンサルティングをやっていて、それら活動の中でよく感じることです。
あと、僕は覚えが悪いので、意味を損なわないようにしつつ自分の言葉に置き換えて理解するようにしています。
先ほど述べたことと、一見矛盾しているように思えますが、僕は学習段階では言葉で理解してから無意識レベルへの落とし込み、つまり、直感と身体の直結というプロセスが大事だと感じています。
なので、言語化は「教える」ということ全般において大切だと思っています。
その場の状況に応じて、相手のわかる言葉で、自分なりに言葉をアレンジして、時には造語して、伝える事が大事だと思います。
もちろん言葉だけでも足りません。
お手本を示した上での言葉による「補足」です。
そう言ったことを強く意識して日々生徒さん達と接しています。
事実、僕のレッスンは他の先生が言わないようなことをたくさん言うそうです。
引き継いだ生徒さんや、過去いろんな人に習ってきたアマチュアプレイヤーの方が口々に言います。
「初めて聞いたけど、目から鱗でした。」
「そんな事これまで誰も言ってくれなかった、聞けてよかった。」
など、手前味噌になってしまいますが、よく言われます。
もちろん、かえってわかりにくくなってしまうこともあります。しかし、そうした試行錯誤の末に誰でも分かりやすい表現というのは作り出されると信じて、日々言語化を試みています。
最近のレッスンや他の活動を通じてつくづく思ったので書いた次第です。
以上、とりとめのない備忘録でした。